上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
「嗚呼・・・私の可愛いイヴェール・・・」
『誰・・・・?君は誰・・・?』

<<マダム、ムシューを離してください。>>

「嫌よ、嫌。絶対離さないわ。だって私の大切な大切な子だもの。」
『マダ・・・ム?僕は君の事知らない。』
「私は貴方を生んだ母なのよ、嗚呼可愛いイヴェール・・・」

<<ムシュー惑わされてはいけませんマダムは貴方を縛ろうとしてます>>

「まったく煩いわね・・・貴女達はは黙ってなさいよたかが人形でしょ。」
『・・・!ヴィオレット!オルタンス!』

<<惑わされてはいけ・・・・な・・・い・・・ムシュー・・・・は帰るべき・・とこ・・ろ・・へ>>


壊された人形。
一体此処はどこなのだろうか?
そして僕を掴んでいるのは誰?
影で姿がわからない。
声で女性だって事はわかる。
けれど姿はわからない。


「これで今は私と貴方だけ私はイヴェールさえいればいいわ・・・私と一緒に・・・」
『君は誰なの?僕を生んだ?僕はもうすでに死んでいるんだ。』
「知っているわ、私のお腹の中で死んでしまった可愛い赤子。」
『・・・本当に僕を生んだ人なの?』
「そうよ。生まれることは出来なかったけれど・・・・貴方はここにいるわ。」
『僕は・・・結局死んでいるの?こうして動いているのに?』
「そうね・・動いていても死んでしまっているわ・・・さぁ一緒に・・・・」


手を差し伸べる影
僕は此処に居ていいのだろうか?
この差し伸べている手をとってもいのだろうか?
僕にはわからない・・・

帰るべき所ってどこ?
人形が壊されてしまった・・・
もう動けないのだろうか・・・
何故こんなにも脆いのだろう。
僕が守ってあげられたら・・・・この二人は壊れなかったかもしれない。
嗚呼もう僕は何をすればいいのか・・・?


「マダム、只今参りました・・・・」
「さっきから邪魔者ばっかり。なんで今来るのかしら?賢者。」
『賢・・・・者?サ・・・・ヴァ・・ン?』
「何故此処に彼が・・・?」
「私が連れてきたからよ。邪魔者は消えなさい・・・・」
「マダム。我侭ながら言わせていただきますが彼は此処に居るべきものじゃない。」
「あら・・・?賢者が私に何をいってるのかしら?」
『サヴァン・・・僕どうしたらいいの・・?』
「イヴェール。君には帰るべき場所がある。私が何とかしてでも返してあげよう。」
「帰るべき所なんてないわ。イヴェールは私と一緒にいるのよ。永遠にね・・・」


帰るべき所?
ここにサヴァンが居る・・・なんで?
ここはどこなの・・・・?
わからない・・・僕にはわからないよ・・・


『僕の帰る場所って何処?』
「君の帰るべき場所は此処ではないのだよ。」
「いいえ、イヴェールの帰るべき所は此処だわ。だって私の子だもの・・・」
『僕の帰るべき所・・・皆の所・・・』
「そうだ。君には・・・待ってる人たちが居るであろう?」
「まってるひとがそんなに大切かしら?」
『待ってる人・・・ヴィオレット・・・オルタンス・・・・』
「もう、双子なら居ないわ。」
「いるさ、ここに。今は壊れてしまっているが直してもらえば戻ってくる。」
『直るの・・・?』
「直るさ、直してくれる人が居る。」


嗚呼・・帰るべき場所・・・
みんなの居る所?もはや双子は居ない。
けれど直るのなら・・・
其処に物語は在るのだろうか・・・・・?
嗚呼そうだ。物語。
僕は物語を探しにいかなくては。


「さぁ、イヴェールこっちへ。」
「惑わされてはいけない。君には帰るべき場所がある。」
『そこ・・・・に・・・・』
「イヴェール・・・?私のイヴェール・・・・さぁこっちよ。」
『其処に・・・・物語は・・・・在る・・・のだろうか・・・・・・?』
「そうだ。君には物語が在る。きみの物語は此処なのかね?」
『違う。僕の物語は此処じゃない。サヴァン、僕の・・・帰るべき場所があったよ。』
「嗚呼イヴェール・・・・わ・・・たし・・・の・・・・・・」
『ごめんなさい・・・・マダム・・・生まれてないけど・・・生んでくれてありがとう。』
「イヴェール・・・・私のところには来てくれないのね。」
『次は・・・今度は僕を生んでね?僕の生まれてくる物語を・・・・』

消えた影。
嗚呼マダム・・・・マダムは一人だ・・・
いつか・・マダムにも素敵な物語が訪れるよ・・・・


僕の在るべき場所。
それはない。
けれど、
僕には物語がある。
探すべき物語。


「さぁ、君の居るべき所へ帰ろう。」
『サヴァン・・・僕は帰るべき所って本当にあったのかなぁ。』
「あるだろう・・・?」
『わからない・・・本当はわからないんだ・・・・』
「ならば私のところにいつでも来なさい。」
『サヴァン・・・?』
「君の居るべき場所がない・・・?そんな事はないのだよ。」
『それは本当?』
「そうだとも。少なくとも私は君の帰るべき場所は此処だと思っている。」
『うわっ・・・サヴァン・・・・?』


急にふわっときた温もり。
サヴァンは僕を求めてくれてるの・・・?
僕の帰るべき場所は此処?


『此処って・・・・?』
「私のところに・・・だよ。私は君の事を愛しているからね。」
『サヴァン・・・・僕もサヴァンの事愛してるよ・・・』




帰るべき場所



「さて、まずはこの人形を直さなくてはならないね。」
『どうやって直すの・・・?』
「彼なら直してくれるだろう・・・・」
『彼?』
「嗚呼。たぶん。オーギュストならば。」
『本当?オーギュストって彫刻家じゃない・・・?』
「そうだとも。だが、彼は手先が器用だ。この外れてしまった所も繋いでくれるだろう。」
『繋ぐだけ?』
「繋ぐのはオーギュストだが、双子の命を吹き込むのは君だがね。」
『どうやって・・・?』
「気持ちだよ。帰ってきてほしいという気持ちををね。」
『帰ってきてほしい気持ち?』
「本当に彼女たちの事が好きならば命が吹き込まれるだろう。」




嗚呼こんなにも暖かい。
この暖かさがいつまでも続けばいいのにな。
いつまでも繋がる物語。
ひとつ、ひとつ、繋がっている。

こうしてサヴァンと居ることも物語なのかな。






スポンサーサイト
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。